成熟期の女性は子宮や卵巣の機能がしっかり発達しているため女性ホルモンの分泌バランスが安定している人が多いと言えます。一方この時期特有の生活環境によって生理周期が安定しづらい状況にいる人もおり、体調に個人差が生まれやすいのが特徴です。それだけに自分の体調リズムの特徴をつかんでおくことは日々を健やかに過ごせる大切な要素です。そこで今回は生理周期の中で起こることが多い心身の変化と、婦人科をかかりつけ医として活用することのメリットについてご紹介します。
安定感があるものの生活環境の影響を受けやすい
成熟期になると女性ホルモンのひとつである卵胞ホルモン(エストロゲン)の分泌が比較的順調になるため生理周期が安定しやすく、体調が整いやすいので精神的な安定も得やすくなります。身体機能的には妊娠や出産に最も適している時期なので、産後の回復や育児に対応できるだけの体力が十分にあります。しかし同時に外見の美しさを強く求める時期でもあり、女性ホルモンの分泌バランスが安定していることで体つきが丸みをおびふっくらとする状態を「太っている」ととらえて過激なダイエットに走るケースも少なくありません。また職場や家庭で責任のある立場に立つことが多いため、頑張りすぎて不規則な生活を続けたり大きなストレスをためたりすることも。このような状態になると女性ホルモンの分泌バランスが崩れて、体調不良の原因になる可能性があります。体力があるだけに「少し無理をしても寝れば治る」と自分の体を過信してしまいがちですが、将来の健康のためにはこの時期から体をしっかりケアする意識を持つことが大切です。
加齢に伴う体の変化を徐々に実感することに
個人差はありますが、徐々に無理がきかなくなる場面に向き合う機会が増えてくるのが30代後半ごろから。職場では部下を持つ立場になったり家庭では子どもが思春期にさしかかったりと何となく慌ただしい雰囲気の生活になりやすいですね。こうしたストレスを受けやすい環境と、体自体の機能が衰え始める原因となる加齢という条件が重なることで「以前より疲れやすくなった」「常にイライラしている」といった自覚も生まれやすくなります。卵巣機能は徐々に低下していくため卵胞ホルモンの分泌も減少します。これは同時に生活習慣病にかかりやすくなるというリスクが高まるということでもあります。子宮頸がんや子宮体がん、乳がん、肥満や糖尿病などさまざまな疾患のリスクが出てきますので定期健診は面倒がらずにぜひ受けたいですね。
今だけではない、将来のためにも受けたい定期健診
この時期は妊娠や出産を経験する女性が多いため、婦人科は今までよりは身近な存在となっているのではないでしょうか。受診経験があるために婦人科にかかるということそのものへの抵抗感も比較的薄いと言えます。しかし逆に妊娠や出産時にかかった婦人科の印象がよくなかったために「行きたくない」と考える人もいるでしょう。とはいえ出産そのものが体にとっては大きな負担のかかることであり産後のトラブルはつきもの。生理の再開の遅れや生理不順などを放置しておくと将来の生活の質に影響を与えることになりかねません。また婦人科疾患や生活習慣病にかかる確率は年齢を重ねるごとに上がっていきますので、今までとは違う何らかの症状が出ていればすぐに受診しましょう。気になる症状が特になくても、女性の体のことをよく知っている婦人科医だからこそもらえるアドバイスがあります。そしてそのアドバイスによって解決できる悩みもたくさんあります。少しずつ変化してくる自分の体のセルフケアの一環として、少なくとも年一回は婦人科で定期健診を受け、気になることを相談するよう心がけてくださいね。