毎月やってくる生理は、煩わしさを感じながらも自分の体調を把握できる大切なもの。排卵が行われているかどうかの目安にもなりますが、実は毎月生理が来ているから安心とは限らないケースもあるのをご存知でしたか? こうした体のリズムをつかむのに便利なのが基礎体温です。今回は、排卵の有無をはじめさまざまなことを把握できる基礎体温についてご紹介しましょう。
基礎体温で女性ホルモンの分泌バランスをチェック
女性の生理周期は、卵子の成熟と排卵を促す働きをする卵胞ホルモン(エストロゲン)と、受精卵が着床する子宮内膜を厚くさせる働きをする黄体ホルモン(プロゲステロン)という2種類の女性ホルモンによってコントロールされています。生理周期の前半では卵胞ホルモンの分泌が増えることで卵子が成長し、分泌がピークになった時期に排卵します。そして排卵直後から卵胞ホルモンの分泌が減っていく代わりに黄体ホルモンの分泌が増え始め、子宮内膜が厚くなっていきます。受精卵ができて子宮内膜に着床しなければ子宮内膜は不要となるため剥がれ落ちて生理として体外に排出されていき、黄体ホルモンの分泌も減っていきます。こうした2種類の女性ホルモンの分泌の動きが体温の変化となって反映されるのが基礎体温です。
基礎体温とは、最小限のエネルギーのみ消費している安静な状態で測定した体温を指します。つまり睡眠している間の体温のことです。しかし就寝中に体温を測ることはできないため、安静な状態に近いとされる目覚めた直後の体を動かさない状態の体温を測ります。
基礎体温の測定データは生理の初日から排卵前後までの低温期、そして排卵以降の高温期の二相状態になっているのが理想的です。
体調の変化や妊娠しやすいタイミングをつかめる基礎体温
基礎体温を測る最大のメリットは、体のリズムや体調の変化が分かることです。たとえば妊娠したい人にとっては排卵しているかどうか知りたいところですが、排卵は自覚症状がないので自己判断ができません。しかし基礎体温を測っていれば排卵の有無を客観的に判断できるので妊娠しやすいタイミングがつかみやすく、もし排卵していなければ受診するといった早めの対策をとることもできます。つまり妊娠しやすい体かどうかがある程度判断できる材料として活用することができるのです。また基礎体温の数値の変化によって女性ホルモンの分泌の状態をおおよそチェックできますから、自分の体調のバイオリズムを確認することもできます。イライラしたり落ち込んだりした場合、生理前だということが分かるだけでもストレスは軽減するもの。特に生理不順の人にとってはイライラの原因が客観的につかめるので大きなメリットと言えるでしょう。
またダイエットやお肌のケアにおいても基礎体温の測定データが参考になります。女性は生理周期の時期によって基礎代謝力も変化するため、基礎体温を参考に女性ホルモンの分泌リズムに合わせてダイエットやお肌のケアを行うと、効果を最大限に引き出すことができるのです。
病気のサインも見逃さない
基礎体温の測定は婦人科系のトラブルの発見にも活用できます。たとえば少量の出血があった場合、基礎体温で自分の生理周期のリズムを把握できていると「まだ生理がくるには早いのにおかしいな」と分かりますね。つまりその出血が生理での出血なのかそうでないのかを判断することができます。生理以外の出血の原因はホルモンバランスの乱れによるものや排卵の衝撃によるものなどの他、子宮がんや子宮筋腫などの婦人科系の病気によるものなどさまざまですから自己判断は危険。生理の出血ではないと分かった時点で早めに受診すれば、病気の早期発見・早期治療につなげることも十分可能なのです。
このように測定データをカラダのすぐれた情報源として役立てることができる基礎体温は、健康のセルフチェックのための心強い味方。ぜひトライしてみてくださいね。